割烹常(かっぽうつね)は地元住民に愛される町の居酒屋さん。しかし、沖縄南部地域では知る人ぞ知る沖縄料理の名店。旅行客側としては「アウェー感が強いのでは」と構えてしまいがちですが、フレンドリーな接客と、獲れたて新鮮な魚介類を提供してくれるとても素敵なお店です。
那覇市街地の喧騒から離れ、車もしくはタクシーでないと行くことが難しいものの、観光客向けに振舞われる沖縄料理とはまた違った“ホンモノ”が楽しめます。
割烹常は沖縄南端である南城市、那覇市から約15kmほど離れた場所にあります。那覇市にホテルを取っていればタクシーでも行けなくはない距離ですが、食事代と同じくらいタクシー代がかかってしまいます。幸いとても広い駐車場が用意されているため、レンタカーやカーシェアを利用して行くこともできます。
また、近くにはゴルフ場やリゾート地で有名な奥武島、あざまサンサンビーチがあるので、南部にホテルを取っている方や観光・ゴルフ帰りに割烹常で食事を取るという方も多いようです。
県庁前駅から割烹常まで16km(30分)
私たちの場合は、Anycaという個人間カーシェアを利用し、沖縄南部ドライブの最終地点として割烹常に向かいました。開店時刻である18時にお店を予約し、20時にお店を出て、那覇市街地のホテルに21時頃到着という流れでした。
割烹常で食べたもの
割烹常の島らっきょうはオーソドックスな塩漬け。絶妙な辛味と鼻に抜けていく香りを心ゆくまで堪能できる一品です。実は、本州で売られているらっきょうと島らっきょうは、形こそ違えど同じ品種。本州のらっきょうに比べて島らっきょうの方が風味が強いのは、育てる環境と沖縄の土の栄養が関係していると言われています。
つまり、形だけなら本州でも真似をすることができるのですが、独特な風味までは真似することができません。更に割烹常の島らっきょうは南部特有の気候で育った新鮮な素材。歯ごたえに加えて見の締まりも抜群です。
割烹常で一番人気の「刺し身の盛り合わせ」。近海で採れた魚をその場で捌いて刺身にし、日によって盛り付けが変わります。沖縄で採れる魚と言えばカラフルな見た目のものがよくイメージされるため、「沖縄の魚はマズい」と思っている方も多いでしょうが、それは魚の種類が単純に多いからです。カラフルな魚もいれば、マグロなど食用に見合ったものも多いのです。
特にマグロは新鮮で生臭さがなく、しっかりと脂の乗ったおいしい刺身でした。また、今回は鱧(ハモ)まで乗っていました。鱧と言えば夏の風物詩であり、独特な歯応えと梅肉の相性がぴったり。
本州の居酒屋で頼むよりもバリエーション豊かで美味な刺し身盛り合わせに大満足でした。
こちらは沖縄ではよく食べられているという「ビタロー」。ビタローは鯛の一種で白身の魚です。それをバター・ニンニク・トマトと一緒に炒めたシンプルな料理でありながら、見た目はイタリアンのようでとてもオシャレ。
鯛の一種ということもあり、身は口の中に入れればホロホロと崩れるほど柔らかく、バターのコクとトマトのうま味成分が淡泊な身と絡み合い、ニンニクの香りが最後にふわっと抜けていきます。トマトの酸味も効いているため後味爽やか。なんとなくフランスパンが欲しくなります。
こちらはキャベツ・ミニトマト・ゆで卵・クルトンをシーザードレッシングで和えたシーザーサラダに、沖縄名物の島豆腐が添えられた「豆腐サラダ」。島豆腐は落花生を使った「ジーマーミ豆腐」と違い、弾力が強く崩れにくい特徴があります。豆腐チャンプルーなどに用いられ、お酒との相性が抜群です。
今回のメインディッシュとして注文した「あぐーのガーリックソテー」。ニンニクの効いたガッツリ系の香りが食欲をそそります。
ポークステーキのような硬さを想像させる見た目ですが、予想に反して肉はホロホロ。ナイフを使わずとも箸がサクッと通っていくほどに柔らかく、お子さんでも難なく噛み切れます。
ニンニク・塩コショウ・醤油の味が効いたタレが柔らかい肉にベストマッチ。肉は噛めば噛むほど脂が溢れてきてとってもジューシー。脂身の部分もくどさや重さは一切感じません。
こちらは沖縄料理の定番「グルクンの唐揚げ」。グルクンは本州ではタカサゴと呼ばれているスズキ科の魚。ビタローと同様白身魚で、淡泊な味とホロホロとした身が特徴的です。ビタローと違って、塩味のみのシンプルな味付けでも十分楽しめます。
そして、グルクンの唐揚げの良いところは、余すことなくすべてが食べられる点です。中央の背びれや骨は一見食べられなさそうに思えますが、実はここもしっかりと食べられて、カリカリ食感が病みつきになります。
そーみんちゃんぷるーは店によって具材や味が少しずつ違うため、食べ比べるのも楽しいですね。割烹常のそーみんちゃんぷるーは、どちらかと言えば薄味で、具材は分葱と鰹節だけというとてもシンプルな作り。あぐーのガーリックソテーやビタローのバター焼きなどの、味が濃い目の料理の箸休めとして食べる料理としてとてもよい仕事をしてくれます。
割烹常まとめ~沖縄に来たなら是非足を運びたい
割烹常は、観光者向けの店というより地元住民ばかりの「居酒屋」に近いものですが、実は知る人ぞ知る沖縄料理の名店。沖縄南部のドライブ中、「このあたりで美味しい沖縄料理が食べられるお店はどこですか?」と尋ねて回ったところ、みなさん口をそろえて「割烹常」の名前を挙げられました。
またこれだけの量を3人で飲み食いして合計8000円とかなりリーズナブルなのも魅力。本州ではまずあり得ません。
距離・位置関係的に沖縄初心者の方にはちょっとレベルが高いかもしれませんが、「ホンモノ」の雰囲気と味を楽しみたい方に割烹常はおすすめです。
店名 | 割烹常 |
住所 | 〒901-0608 沖縄県南城市玉城親慶原223-2 |
電話番号 | 098-948-7259 |
駐車場 | 有り(約15台) |
クレジットカード | 不可(現金のみ) |