カーシェアリングの基礎知識

タイムズカープラス法人(ビジネス)カードで乗車手続き

社員7人の中小企業がカーシェアを導入して感じたデメリット(タイムズカーシェア法人会員)

結論から言うと、「カーシェアリングの法人入会」に関する致命的なデメリットは皆無です。会社として車を使う・使わないということは関係なく(各カーシェア事業者もそれを歓迎)、年に1度の利用だとしても資格停止や管理料金の請求を受けることはありません。

ここでまとめたいことは、これからカーシェアリングを企業として導入したいと考えている社員10人以下の中小企業に対し、カーシェア法人導入のデメリットを理解した上でもメリットがそれをどれだけ上回るかという内容です。

現状、サービスとして十分満足いくものにはなっていますが、法人利用に限らず「カーシェア」全体の課題に関して問題が多く指摘されています。本記事がカーシェア導入を考えている中小企業の方々の参考になれば幸いです。

なおタイムズカーシェアに関するシェアQ的分析結果はこちらを参照下さい。

挙げることの方が難しい、カーシェアリング法人会員のデメリット

タイムズカーシェア法人(ビジネス)カードで乗車手続き

一般的な「カーシェアリングのデメリット」については割愛し、法人会員、中でも「社員10人以下の中小企業」にフォーカスしたデメリットを挙げてきます。

ちなみに当社(当サイト「シェアQ」管理会社)は、役員2名、正社員2名、アルバイト3名、合計7人の中小企業。カーシェアを実際に使うことになる人間は3人です。

普段は「シェアQ」を始めとするWEBサイトの作成や、コンテンツ製作にかかる取材など、車はあってもなくても問題ない、こじんまりとした会社です。

社用車はありますが、事実上社長の自家用車ということもあり、社員が利用するものではありません。そのため、遠方への移動、各種取材にあたっては、カーシェアを導入するまで公共交通機関、タクシーや社長の運転に同乗して移動することが主でした。

しかしカーシェアを法人として導入してから、移動に関しては「メリット」しか感じません。以下にまとめるデメリットは、重箱の隅をつつくようなもので、導入の足かせになるものではないことを先に補足しておきます。

従業員誰か一人が重大な事故を起こしたら会員資格停止となる

「法人」「個人」という括りの通り、カーシェアを利用することによる事故やトラブルは、等しく「1」とカウントされます。

つまり、従業員10人のうち1人が事故を起こしてしまった法人会員のケースと、個人会員1人が起こした事故の重みは同じです。

ですから、カーシェアの導入は大企業ほどその管理が難しくなり、社員への注意喚起、連帯責任の意識徹底が求められます。

ただ実態としては、法人会員の資格停止処分の事例がまだ無いようです(タイムズカーシェア)。規定上明らかにはなっていませんが、「重大な事故」の許容幅が個人と法人で基準が異なるのかもしれません。

長距離運転、車を酷使する業務の場合は不向き

カーシェアリングを「社用車の代替としたい」「効率化して経費を削減したい」と考える法人は多いと思いますが、今なお車をガンガン使って営業、外回りを行っている(またはその予定である)会社は導入をおすすめしません。

また毎日カーシェアを使う前提であれば、カーリース、社用車による方が圧倒的にコスパが高く、緊急時の出動や万が一の事故においてもリスクが少なく安心です。

カーシェア・レンタカー・社用車の料金比較(月15回以上、1日4時間、3人の人間が車を使う場合)、タイムズカーシェア試算

こちらは、月15回以上、1日4時間、3人の人間が車を使う場合を想定した料金シュミレーション。タイムズカーシェアが試算しているものなので、カーシェアが可能な限り優位になるように組み込まれていますが、実際に月15回以上、1日4時間、3人が安定的に利用できるカーシェアのステーションはありません。

またこれだけ頻繁に使う場合、「事故が起こらない」ということは考えにくいため、補償云々以上に、資格停止処分を受けてしまった際の営業活動に支障をきたします。

レンタカーは高い、カーリースは年縛りがある、社用車は初期投資がかかる、それぞれにデメリットがあるため、事業形態や使用目的を整理しましょう。個人的には「カーシェアリングはおまけ」程度に考えて使うのがストレスフリーに利用できると思います。

タイムズカーシェア以外のカーシェア法人入会は現実的ではない

法人入会を考えている場合、「タイムズカーシェア」以外が候補に挙がることはまずありません。個人会員の場合、近隣ステーションがどの事業者であるかが一番の入会動機となりますが、法人入会においては「ステーション数」「車両数」が一番重要なポイントになります。

もちろん近隣にタイムズカーシェアが無ければ選択の余地はありませんが、どちらか選べる状況であるならタイムズカーシェア一択。全国展開しているカーシェア事業者はタイムズカーシェアのみなので、出張時や外出時にその利便性の高さを痛感するはずです。

シェア 会員数 ステーション数 車両数
タイムズカーシェア 1位 965,924人 10,459ヶ所 20,985台
オリックスカーシェア 2位 193,182人 1,654ヶ所 2,703台
カレコ 3位 73,592人 1,662ヶ所 2,794台

※2018年3月現在
※dカーシェアは法人入会不可

もちろん、どのカーシェアサービスも法人については月額基本料無料(一部登録手数料はかかる)なため、複数登録して漏れをなくすことも可能です。ただ、「カーシェア」というサービス実態は同じなのに、支払先や各社のルール、管理ID/PW、会員カードだけが増え、それを従業員に共有させるのはセキュリティ面から見ても不便です。

手軽すぎるがゆえに管理が行き届かなくなる場合もある

タイムズカーシェアで言えば、法人会員も個人会員もカーシェアの利用方法(登録・予約・乗車)に違いはなくとても簡単です。

従業員も気軽に使えてしまうため、例えば外回り中に「昼寝」をしていてもわかりません。そんなこと社用車でもレンタカーでも同じじゃないか、と指摘を受けてしまうかもしれませんが、カーシェアリングは基本「時間料金」、しかも15分単位の細かい設定であるため、見えない負担がのしかかる可能性もあります。

カーシェアリングの車両で車中泊をしている様子

実は、カーシェアリングを「仮眠スペース」として利用するサラリーマンが増えているそうです。外回り中、公園のベンチや喫茶店で仮眠を取ることはできないので、足を伸ばせる場所を確保できるカーシェアの車内をそれとして利用するというのです。

衝撃的ですが、その話を聞いて私も「なるほど、それは賢い」と感心したものでした。従業員にビジネスカードを渡してしまえば、その機会を与えてしまうことになるので、その管理に目を光らせる手間は増えてしまいます。

ちなみに、管理者メニューでは従業員が、いつ・どこで・何分・何キロ走り・どういった運転をしたかわかるようになっています。急加速・急減速の記録はもちろん、利用予約をしたのに全く走っていないということもわかります。

利用モラルが悪い社員についてはいつでも停止手続きを踏むことができます(参考:タイムズカーシェアのビジネスカード停止・処分の手続き方法と注意点)。しかし、カードは従業員ごとに紐付いているため、別の従業員にカードの名義を移したりすることはできず、新たに従業員を追加する必要があります(648円/1人)。

法人会員による個人利用はグレー

中小企業、特にうちのような社長と密な関係な会社で、利用料金が社長のクレジットカードから引き落とされる設定にしていると、従業員や社長自身の個人利用も認めてしまうことがあります。

タイムズカーシェアを始め各社共、利用料金の請求方法はクレジットカードが原則です。請求書払いだと個人利用は完全NGであり、かつ万が一の際料金を押さえることができないため審査もあります。10人以下の中小企業で、売上規模も小さい会社だとまず通りません。

そして社長名義のクレジットカードであれば登録できてしまうので必ずしも法人カードである必要はありません。つまり、公私混同も可能、それをタイムズ側も厳しく取り締まっていない現状です。

しかし、私が見る限り全てのクレジットカードの利用規約には、「個人カードによる事業利用不可」となっています。もちろん「法人カードによる個人利用」も不可です。ただその額が突出していない限り指摘を受けることもなければ法律違反でもありません。

現状、ビジネスカードを使った個人利用で何か問題が起こるということはないものの、規約に抵触している事実については理解しておきましょう。

入会しない理由がない、月額料金無料で各種サービスも付帯するタイムズカーシェアの法人会員

以上が、我が社が法人会員になったことで感じたデメリットですが、「デメリット」という感覚は正直ありません。うちが車をそもそも使わない会社だからということもありますが、むしろそうした会社こそカーシェアリングの法人会員になるべきだと思います。

特に当社が登録しているタイムズカーシェアであれば、

  • 月額料金永年無料
  • 従業員全員分の会員カード発行料無料(期間限定だが定期的に行っている)
  • ステーション数、車両数がダントツ(全国展開)
  • タイムズレンタカーの割引
  • タイムズ駐車場のキャッシュレス化ができる

などなど、もはや登録しない理由がありません。

冒頭解説した通り、仮に登録後一回も使わなくても問題ありません。タイムズカーシェアの法人会員になったことで、「車を手放したい」と思うようなことも特段なく、「カーシェア」という移動手段が新たに増え、そのメリットを大きく感じている次第です。

「カーシェアか社用車か」という究極を論じようとするとどうしてもデメリットが際立ってしまい、万が一の際営業活動に支障を来すため、両立しながらカーシェアの雰囲気をつかんでいくのも良いでしょう。

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