自家用車を持つとガソリン代や車検、車のローンなど、毎月の維持費が万単位で発生してしまいます。一方、カーシェアリングは、運営会社の持つ車を会員同士で共有するだけなので、大きな維持費は月会費と利用料金ぐらいしかかかりません。
これからカーシェアに登録しようと考えている方は、自家用車と比較してどれくらいの料金差があるのか、具体的にどれくらいの維持費がかかるのか気になるところでしょう。本記事では普通車もしくは軽自動車を持った際の維持費、カーシェアリングを利用した場合の維持費を様々な視点から比較・まとめました。
自家用車を持った場合の維持費は?
日産ノート e-POWER(普通車)の場合
2018年上半期に最も売れた普通車「日産 ノート e-POWER」を購入した場合の維持費を計算してみました。
1年目にかかる費用一覧 | 年間 |
車検費用(初回車検÷3、概算) | 25,000円 |
駐車場(23区西部の相場、25,000円/月) | 300,000円 |
自賠責保険(36,780÷3) | 12,260円 |
自動車保険(新規6等級、アクサ、26歳) | 44,210円 |
自動車税(初年) | 34,500円 |
重量税(初年) | 1,800円 |
ガソリン代(5400km、1L=145円、20km/L) | 39,150円 |
年間合計 | 456,920円 |
ランニングコスト | |
月あたりの金額 | 38,077円 |
月あたりの金額(駐車場除く) | 13,077円 |
この表の場合、駐車場代が一番大きくかかっていますが、車の購入費用も忘れてはいけません。
ノート e-POWERで一番人気のXグレードに、推奨される先進機能のオプションを追加した場合の車両価格は約235万円になります。仮にこれを頭金なしで残価設定型クレジット(60回、均等払い)にした場合、毎月約35,000円になります。マイカーローンなど金利手数料が比較的安い別な手段などで支払うことで、これよりも安くなるでしょうが、上表の維持費と合わせると、駐車場を除いた額でも毎月約5万円かかってしまうことになります。
ホンダ N-BOX(軽自動車)の場合
2018年上半期に最も売れた車であるホンダ N-BOXを購入した場合の年間でかかる費用です。こちらは軽自動車なので、少し安くなります。
1年目にかかる費用一覧 | 年間 |
車検費用(初回車検÷3、概算) | 15,000円 |
駐車場(23区西部の相場、25,000円/月) | 300,000円 |
自賠責保険(35,160÷3) | 11,720円 |
自動車保険(新規6等級、アクサ、26歳) | 39,020円 |
自動車税(初年) | 10,800円 |
重量税(初年) | 1,800円 |
ガソリン代(5400km、1L=145円、15km/L) | 52,200円 |
年間合計 | 430,540円 |
ランニングコスト | |
月あたりの金額 | 35,878円 |
月あたりの金額(駐車場除く) | 10,878円 |
自動車税・保険料は安いですが、燃費の関係でガソリン代が少し上がったため、維持費はそれほど大差ありません。ホンダがN-BOXの人気グレードとして推している「G・EX Honda Sensing」の車両価格は約174万円です。
ノートの場合と同様に、残価設定型クレジット(60回、均等払い)にした場合は、毎月約23,000円です。駐車場を除いた場合でも毎月3万円以上の維持費がかかってしまうことになります。
中古車の場合
中古車の場合、車両価格が新車の半分以下に抑えられることがあります。しかし、古く安い車を利用すると故障も多くなり、車検を通すのにも20万以上取られることもあるほか、新車登録から13年以上経った車は、自動車税が高くなります。最新の車に比べると燃費も劣るので、トータルコストで考えると、コストパフォーマンスはあまり良くありません。
輸入車の中古では特に整備費、足回りの価格も跳ね上がります。
新車を買う余裕はなくても車を日常的に利用したい方にはオススメですが、たまにしか利用しない方にはあまりオススメできません。
カーシェアリングの維持費は?
カーシェアリングの維持費は、約1,000円の月会費のみです。さらに、月会費と同額の無料利用分も付与されるため、毎月1,000円以上の利用をすれば、月会費も実質0円になります。
以下は週に1回、タイムズカーシェアの6時間パックを利用した場合にかかる1年間の費用です。
1年目にかかる費用一覧 | 年間 |
月会費(1,030円) | 12,360円 |
無料利用分 | ▲12,360円 |
利用料金(週1、6時間パック) | 209,040円 |
距離料金 | 0円 |
安心補償(週1) | 16,068円 |
年間合計 | 225,108円 |
ランニングコスト | |
月あたりの金額 | 18,759円 |
自家用車を持っていたときよりも、車にかかるお金が大幅に減りました。車を手放してから、公共交通機関とカーシェアリングを組み合わせて利用するようになりましたし、それほど不便することもありません。
カーシェアを利用するのは、車で1時間ほどの場所にある郊外のコストコやIKEA、アウトレットモールなどに行くときが多いです。その場合でも、6時間あれば十分ですし、間に合わなそうであれば簡単に延長手続きができます。
近所の買い物のために6時間パックを使わずに、数十分のショート利用をすることもありますが、その場合は15分206円で利用できます。
カーシェアリングは長距離移動や長時間利用に向いていないので、遠出をする際にはタイムズカーレンタルを利用しています。タイムズカーシェア会員は25%オフで利用できますし、キャンペーンによってはそれ以上の割引が適用されることもあります。
上表はあくまで試算ですが、かなり頻繁にカーシェア利用した場合を想定しています。個人的には月に全く使わないこともあるので、年間合計と月あたりの金額からも「カーシェアの利用料金が安い」「自家用車の維持費が高い」ことがよく分かるでしょう。
カーシェアリング特有の料金項目とその他の維持費
月会費
カーシェアリングの月会費の相場は約1,000円です。大抵の場合、月会費と同額の無料利用分が付与されるため、月会費以上の利用をすれば月会費は実質無料になります。
中には、月会費無料のプランや、サービスがありますが、利用料金が少し割高に設定されているため、月に1回以上利用する方は、月会費が有料のプランがお得です。
利用料金
15分もしくは10分単位(カレコは最低利用時間30分)のショート料金と、6時間、12時間、24時間などのまとまった時間で借りられるパック料金があります。
サービスにもよりますが、これらを組み合わせることもできますし、15分だけの利用から日を跨いだ利用も可能です。
距離料金
一般的なカーシェアリングサービスには、1km走るごとに発生する距離料金という料金システムがあります。
タイムズカーシェア、カレコ、dカーシェアは、6時間以上の利用で1km/16円の距離料金が発生しますが、6時間パックもしくはショート利用であれば、距離料金は発生しません。
オリックスカーシェアは15分の利用から1km/15円の距離料金が発生します。知名度はそれほど高くありませんが、日産 e-シェアモビは距離料金が発生しない唯一のサービスです。
ガソリン代は発生しない
「距離料金」という聞き慣れない設定に少し驚いたかもしれませんが、距離料金を支払う代わりに、利用者はガソリン代(充電代)を支払う必要がありません。
表のようにガソリン代を支払うのと比較してみると、距離料金の方がやや割高になってしまいます。しかし、6時間以内の利用であれば距離料金もガソリン代も支払う必要がないことと、利用者がわざわざガソリン代などを建て替える必要がないことを考えると、妥当と言えるのかもしれません。
ガソリン代を払う必要がないのは、短距離・短時間利用の場合だと、レンタカー同様に満タン返しにすると効率が悪くなってしまうからです。そのため、長く使う人が距離料金を支払う形にし、運営会社がガソリン代などを負担しています。
万が一、利用中にガソリンが足りなくなってしまった場合は、車に備え付けの給油カードを利用してガソリンの給油を行います。
高速料金は自己負担
高速道路の利用料金は、利用者負担です。主要なサービスにはETCカードリーダーが標準装備されているため、自身のETCカードを挿入して利用することができます。ただし、ETCカードの忘れ物が多いので、お気をつけください。
ETCカードを持っていることで、料金所をスムーズに通行できたり、スマートICを利用できるほか、土日や深夜帯の割引が適用されるなどのメリットがあります。
ETCカードを持っていない方は、簡単に作ることも可能ですが、日産 e-シェアモビでは、全車両にETCカードが標準装備されています。もちろん料金は後日e-シェアモビ経由で請求されますが、特別に料金が高くなることもありません。
運転免許証の更新費用
運転免許証の更新費用も車を運転するのに必要な維持費であると言えます。
免許証の有効期限は、違反運転者、免許取得から5年未満の人(初回更新者)、71歳以上の高齢者は3年間ですが、優良運転者(5年間無事故無違反)、一般運転者(5年間軽微な違反1回のみ)は5年です。
期限が来るたびに、講習を受け免許の更新を行う必要があります。
区分 | 更新手数料 | 講習料 | 合計 |
優良運転者 | 2,500円 | 500円 | 3,000円 |
一般運転者 | 800円 | 3,300円 | |
違反運転者 | 1,350円 | 3,850円 | |
初回更新者 | 1,350円 | 3,850円 |
更新費用は講習の区分によって異なり、所要時間も異なります。
また、更新時に「交通安全協会」への入会を促されますが、実際は任意加入となっており、使途や天下りなど、さまざまな問題を抱えています。入会しても特に大きなメリットはありません。
利用頻度が多くない方はカーシェアにシフトする方がお得
自家用車は、専用のプライベートスペースになり、いつでも自由に利用でき、カスタマイズもできる点は魅力的です。しかし、維持費があまりにも高すぎるため、週末しか車を利用しない方や、たまにしか長距離移動をしない方は、自家用車を手放して、カーシェアリングにシフトするほうが断然お得であると言えます。
いざ自家用車を手放してみると、公共交通機関とカーシェアリング、時々レンタカーを利用するだけで、十分であることに気づかされます。自転車で代用できることもありますし、最近ではシェアサイクルも増えつつあるため、出先で自転車を利用するということも可能になりました。
特に、東京23区内では、月極駐車場の料金は毎月2万円を超えてしまいますし、公共交通機関やシェアリングサービスが発達しているので、十分にシフトするだけの理由があります。
車社会である場所に住んでいて毎日車を利用する方には自家用車の方がお得にはなりますが、たまにしか車を利用せず、近隣にカーシェアのステーションがある方は、車を売却してカーシェアにシフトすることをオススメします。
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