カーシェアリングの基礎知識

夜のタイムズ駐車場(博多駅前第14)

カーシェアで車中泊〜ガソリン代も距離料金もかからずエアコン使い放題

旅先で借りたレンタカーで車中泊をすることはそれほど珍しくはありませんが、実は、仮眠スペースや宿泊場所として利用するためだけに、カーシェアを利用する方も増えているようです。

「なぜわざわざカーシェアの車内で車中泊を?」と疑問に思われるかもしれません。そこでカーシェアリングの車両を宿泊目的だけに使った人たちの声を聞いてみると、カーシェアリングの料金システム上、お得に宿泊することができ、レンタカーよりも車中泊に向いていることが分かりました。

実際に私もカーシェアリングで車中泊をしてみると、ネットカフェやカプセルホテルよりもリラックスして休息することができ、単なる移動手段としてではなくプライベート空間としても利用できるそのメリットに気付きました。

メリット

  • 夜間利用(ナイトパック)が安い
  • エアコン使い放題(距離料金にガソリン代が含まれている)
    ※しかしマナー的にはアウト
  • ステーションから動かなければ路上駐車にならず、距離料金もかからない
  • 24時間、車の空きがあればすぐに利用ができる

しかし、車内の汚れや寝過ごした際の無断延長や、車中泊が禁止されている場所もいくつかあるので注意も必要です。本記事では以上の点に注目し、カーシェアリングで車中泊を行うことのメリット、デメリット、車中泊を行う際にあったら便利なグッズやオススメの車種、そして利用上の注意点を紹介します。

主要カーシェア 月会費 夜間パック
タイムズカーシェア 1,030円 2,580円
18時~翌9時
三井物産グループ[カレコ・カーシェアリングクラブ]
カレコ
0~980円 2,500~3,100円
18時~翌9時

カーシェアリングで車中泊が向いている理由

カーシェアリングの車両で車中泊をしている様子

夜間利用が安く、ガソリン代を負担する必要がない

カーシェアリングサービスは、利用者がガソリン代を負担しない代わりに、1kmあたりの「距離料金」が発生します。

タイムズカーシェア、オリックスカーシェア、カレコなどの主要サービスでは、夜間(夜18時~朝9時)のパック料金が非常に安く設定されており、各社とも約2,500円の均一料金に設定されています。軽自動車を利用する場合でもファミリーカーを利用する場合でも利用料金は一緒なので、安価に大きめの車を借りてゆったりくつろげます。

この料金システムの特性を活かすことで、安価に車中泊が可能になります。例えば、

  • 終電を逃してしまった
  • ホテルの空きが見つからず周囲には漫画喫茶やネットカフェもない
  • 深夜帯に数時間だけ休みたい

といった場合に、カーシェアリングが車中泊のための「場所」として利用できるのです。

カーシェアリングの車両を宿泊場所として利用する際、走行せずにステーションに留まるか、近隣の車中泊ができる場所まで移動して駐車をすることで、距離料金を抑え、かつガソリン代の心配をせずに車中泊ができます。

空きがあれば24時間いつでも利用できる

カーシェアリングは無人で運営されているため、商業施設など入出庫の時間に制限が設けられていない限りは24時間利用することができます。ネット上で車両の予約をし、自身の会員証を予約した車両にかざすだけで利用開始となります。

また、夜間は利用者も少ないため予約が取りやすく、特に平日は車中泊に適した大きめな車両も利用できることが多いです。数時間前から予約をしなくても、たまたま通りかかったステーションを見つけてネット上で予約し、すぐに利用することもできます。

住宅街、立体駐車場などさまざまな場所で車中泊ができる

タイムズ新所沢駅前

サービスや地域にもよりますが、カーシェアリングのステーションのほとんどは、コインパーキングの敷地内に設置され、主要な駅の近隣に設置されています。

駅前にネットカフェがなくビジネスホテルも高価な場合、他に商業施設や住宅街などさまざまな場所に設置されています。

特に、立体駐車場のような屋根付きの場所は、雨音をそれほど気にする必要がなく車中泊に適しているため、車中泊ユーザーには人気のようです。

運転以外の利用は規約違反ではない

「車を運転する以外の目的で利用することは規約違反じゃないの?」

と心配する声も聞こえてきますが、きれいな状態で時間内に返却するなど基本的なルールさえ守れば、罰則はありません。

ただし、ステーションが設置されている駐車場などの規約によっては、エンジンのつけっぱなしが禁止されていることもあるので、車中泊を行う場所の規約は確認しておきましょう。

また、過去にも利用マナーの悪さによってペットの同乗が禁止されるようになった事例もあるので、車中泊ユーザーのマナーの悪さによっては今後車中泊が禁止される可能性も考えられます。車中泊をする際はルールを守って利用してください。

カーシェアリングの車中泊で懸念されること

座席を汚してしまうと清掃費実費とNOCが請求される

他のユーザーと車両を共有するため、車を汚損してしまった際のペナルティは重く、きれいな状態で返却する必要があります。

一般的なカーシェアリングサービスでは、車内を汚損してしまった場合は、清掃費(修理費)の実費とNOCと呼ばれる休業補償を支払う必要があるため、数万円単位の請求の恐れがあります。

睡眠中は知らぬ間によだれを垂らしてしまったり、思わぬ汚れを車内につけてしまう可能性があるため、カーシェアリングを利用する際は、タオルや寝袋を敷いて寝ることを推奨します。

寝過ごしてしまった場合「無断延長料」が発生

各社の夜間パックは午前9時まで適用されますが、万が一9時までの予約にも関わらず寝過ごしてしまった場合は、無断延長料が発生してしまいます。

事前に延長手続きを行っていれば、15分単位のショート料金で延長することができますが、無断延長の場合は通常の倍額の延長料金が請求されるほか、場合によっては会員資格を剥奪させられる可能性があります。

次の予約している人に迷惑をかけてしまう恐れもあるので、時間厳守で利用することを心がけましょう。

主要カーシェアリングサービスの夜間利用料金

前述の通り、午後6時から午前9時までのパック利用の料金設定は、どこもほとんど同じ料金で設定されていますが、月会費の有無や夜間パックが適用される時間帯が異なります。

月会費 夜間パック 夜間パック適用時間
タイムズカーシェア 1,030円 2,580円 18時~翌9時
オリックスカーシェア 0~980円 2,500円 20時~翌9時
dカーシェア(オリックス) 0円 2,500円 20時~翌9時
カレコ 0~980円 2,500~3,100円 18時~翌9時

月会費が無料のプランになると、利用料金がやや割高に設定されがちですが、オリックスカーシェアとdカーシェア(オリックス車両の場合)の夜間パックは、同じ料金設定になっています。カレコの月会費無料プランは、夜間パックの利用料金が3,100円と少し割高に設定されています。また、月会費有料のプランは、当月使える月会費相当の無料利用分が付与されるので、毎月約1,000円以上を利用すれば実質月会費無料になります。

夜間パックが適用される時間帯もサービスによって異なりますが、いずれも18時もしくは20時から、翌日午前9時まで利用することができます。

また、タイムズカーシェアだけは上記時間帯のパックの他に2種類の夜間パックが用意されており、時間帯によっては他のサービスよりもお得に利用できます。

タイムズカーシェアの夜間パック 利用料金
アーリーナイトパック(18~24時) 2,060円
レイトナイトパック(24~翌9時) 2,060円
ダブルナイトパック(18~翌9時) 2,580円

0時以降に宿泊をする方、もしくは18時から24時まで仮眠などを取る方は2,060円に抑えることができるため、他社よりも500円ほどお得に利用できます。

カーシェアリングで車中泊をする場所

佐野サービスエリア(下り)の夜の風景

屋外駐車場

カーシェアリングのステーションの多くは、駅周辺もしくは住宅地の屋外駐車場に設けられています。屋外のステーションでクルマを借りてそのまま車中泊をする方が多いようですが、近隣の迷惑にならないようになるべくエンジンはかけない方が良いでしょう。

雨の日は窓を開けることができないだけではなく、クルマに当たる雨音が非常にうるさく、耳栓がないとまともに睡眠を取ることができません。

屋内駐車場

立体駐車場のような屋内の場合、騒音が少ないことや、監視カメラが設けられており屋外よりも安全に車中泊をすることができますが、こちらも屋外同様に、長時間エンジンをかけっぱなしにすることが禁止されているところもあります。

一見、屋内が一番過ごしやすいように思えますが、屋内でも夏場は気温が上昇するほか、空気の循環が悪くなり息苦しく感じるだけではなく、一酸化炭素中毒になるリスクがあり非常に危険です。

外気が取り入れられている立体駐車場であればそれほど問題はありませんが、地下駐車場のように閉鎖された場所での利用は控えた方が良いでしょう。

道の駅

ステーションから少し移動して道の駅などの車中泊スポットで泊まることもできます。駐車場が24時間開放されている道の駅などは、比較的静かな場所に位置していることが多いため、車中泊に利用されることが多くあります。

しかし、時には暴走族などの溜まり場になってしまう場合もあり、騒音で安眠できない可能性も考えられます。

屋根付きの駐車スペースも用意されていますが、屋根に当たる雨音はやはり気になってしまいます。

なお、すべての道の駅が車中泊を許可しているとは限らないため、泊まろうとしている道の駅が車中泊を禁止しているかどうかは、事前にご確認ください。

車中泊であったら便利なもの

アイマスク

必要度:★★★★★

街灯や他のクルマのライトなどが気になってしまい眠れないことがあるので、なるべく暗い場所で寝たい方はアイマスクを利用すると良いでしょう。

たまたま車内を見られてしまった際に寝顔が見られずに済むため、アイマスクはあったほうが便利です。アイマスクはホットアイマスクのような使い捨てタイプも売られており、コンビニでも入手することができます。

耳栓

必要度:★★★★★

眠る時に音が気になってしまう方は必須です。ステーションが多く設けられている駅の近くでは人の声や他のクルマの音が気になってしまいますが、静かな場所でも雨が降っていると、クルマに当たる雨粒の音が大きめに響き、睡眠に支障をきたします。

コンビニなどではあまり売られていませんが、ドラッグストアで売られていることが多いです。

車用網戸

必要度:★★★☆☆

夏場は夜間でもエアコンの使用がマストですが、やはり車内に空気がこもってしまい少し息苦しく感じてしまます。換気のために窓を開けたくても虫が入ってきてしまう恐れもあることから、車用の網戸を付けて外気を取り入れることをオススメします。

少し肌寒く感じる場合があるかもしれないので、念のためブランケットを1枚かけて寝ると良いでしょう。ただし、窓が開いた状態になるため防犯上のリスクが高まり、周囲の環境や治安にはくれぐれもお気をつけください。

寝袋

必要度:★★★★☆

夏場でも寝袋を使ったほうが快適に寝られます。後部座席を倒して寝る際に床に敷くものとしても利用できますし、夏場でもなにか一枚かけて寝ないと体調を崩してしまう恐れがあります。

この寝袋に関しては、非常に安く購入することができ、手足を出したり1枚の布としても利用できるほか、洗濯も可能なのでコストパフォーマンスに優れています。これだけで床に敷いて寝ると少し痛いのが正直なところですが、安く済ませたい方にはこのような寝袋は非常にオススメです。

エアーマット

必要度:★★★☆☆

寝袋よりも少し値段が高くなりますが、より快適な睡眠を得るためには、広めの車を借りてエアマットを敷いて寝るのがオススメです。

エアマットと聞くと、空気を入れるのが大変そうだというイメージが先行しますが、電動空気入れも付属しているため、ACアダプタがあればシガーソケットを利用して車内で空気を入れることができます。

クイーンサイズだと2人で寝ることが可能ですし、一人でも快適に眠ることができます。もう少し値段を抑えたい方は、同シリーズのシングルサイズを購入することをオススメします。

エアーネックピロー

必要度:★★★★☆

座席に座って眠る方にはネックピローがオススメです。

座席にヘッドレストが付いているとはいえ、何もない状態で寝てしまうと首や肩に疲れが残ってしまいます。車中泊だけではなく、長時間移動中の休憩や、飛行機や新幹線などでも使うことができ、使用しないときは空気を抜いてたたむこともできるので、持ち運びにも便利です。

エアーピロー

必要度:★★★☆☆

こちらは座席を倒して寝る際にオススメなエアーピローです。

普段利用する枕と同じような形になっており、横になって寝る際はネックピローよりもこちらのタイプのほうが寝やすく感じます。こちらの枕も空気を抜くと手のひらサイズに収めることができるため持ち運びに便利ですし、寝袋やエアマットなどと組み合わせて使うと快適に眠ることができます。

車中泊をする上で気をつけるべきこと

一酸化炭素中毒に注意

エンジンをつけっぱなしのまま停車すると、車内に一酸化炭素が充満して一酸化炭素中毒になる可能性があります。

「排気ガスは外に出るのに何故車内に?」と思うかもしれませんが、屋内駐車場や風がない場所では、空気の流れが止まってしまい、一酸化炭素などの排気ガスが車内に入ってしまうリスクがあるのです。

特に雪などが降る冬場は注意が必要で、雪でマフラーが塞がれてしまい、排気ガスが逆流して一酸化炭素中毒で亡くなる事件が発生しています。

エンジンのつけっぱなしは条例違反で罰せられる可能性がある

カーシェアリングに限らず、駐車場内で停車中のままエンジンをつけっぱなしにすることを条例で禁止している自治体が多くあります。これまで、アイドリングによる条例違反で罰金を課せられた例はないようですが、今後摘発される可能性はゼロではありません。

特に、夏のような夜でも暑い時期は、エアコンをかけないと暑苦しくて目が覚めたり、最悪の場合は熱中症になってしまう恐れもあるため、どうしてもエンジンはかけなければならない場面が出てきます。その場合は車用網戸を利用して外気を取り入れたり、エンジンのかかる頻度が少なくなるハイブリッド車などを選ぶことをオススメします。

まとめ:カーシェアリングで車中泊はお得!ただし注意すべき点も多い

  • カーシェアは夜間利用が安くガソリン代もかからないため車中泊向き
  • 24時間、空きがあればすぐに利用ができる
  • カーシェアでの車中泊は規約違反ではない
  • 車内の汚れや寝過ごした際の無断延長には特に要注意
  • 車中泊が禁止されている場所もいくつかあるので要確認
  • さまざまなグッズを活用すると車内で快眠ができる

カーシェアリングは24時間空きがあればいつでも利用できるだけではなく、夜間利用の料金が安く設定されており、18時もしくは20時から翌9時までの間は約2,500円で利用できるサービスがほとんどです。

ルールが厳しいカーシェアリングでの運転以外の利用は、ペナルティが課せられてしまうのではないかと心配する声もありますが、少なくとも主要カーシェアリングサービスでは車中泊禁止を明記しているところはありません。

ただし、車中泊利用によるルール違反が目立つようになってしまった場合、車中泊の利用が禁止されてしまう恐れがあります。また、車内に汚れを残してしまった場合、寝過ごして無断延長をしてしまった場合などは、ペナルティが課され、罰金や倍額の延長料金の請求だけではなく、最悪の場合、会員資格の剥奪もありえるので、くれぐれも車中泊をする際はルールやマナーを守って利用してください。

車中泊はなかなか寝づらいというイメージがありますが、アイマスクや耳栓、エアーマットなどの便利グッズを活用することで、家のベッドと同じぐらい快適な睡眠が得られます。始発までの仮眠場所として利用する際にはエアーマットなどを利用することは難しいと思いますが、それでもアイマスク・耳栓のようなコンビニやドラッグストアでも買えるグッズを活用することで、なにもない状態よりもより良い状態で眠れるはずです。

主要カーシェア 月会費 夜間パック
タイムズカーシェア 1,030円 2,580円
18時~翌9時
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カレコ
0~980円 2,500~3,100円
18時~翌9時

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