主要なカーシェアリングサービスは「月会費」が発生しますが、多くの場合その月会費と同額の無料利用分が付与されます。そのため、月会費以上の利用を月に1回以上すれば、月会費が実質無料で利用できます。
ただ、毎月付与される無料利用分は、翌月に繰り越すことができないため、使わない月があったり、数ヶ月に1度ぐらいの利用頻度であれば、月会費を無駄に払うことになります。
- 月会費を払うことに抵抗がある
- 契約しても使うかどうか分からない
そんなライトユーザーのために、無料プランの初期費用から利用料金、補償内容まで、カーシェアリングサービスを一斉比較し、どのサービスに登録をすべきか検証してみました。
月会費無料のサービスを提供している主要カーシェアリング事業者
全国展開している主要なカーシェアリング事業者のうち、以下の4社が月会費無料のサービスを提供しています。
- オリックスカーシェア
- カレコ
- dカーシェア
- アースカー
このうち「オリックスカーシェア」と「カレコ」は、有料会員との差別化を図るため、無料会員の利用料金は有料会員のそれに比べて、やや割高に設定されています。
一方、「dカーシェア」「アースカー」は、有料プランの設定がなく、利用料金もそれほど高くは設定されていません。
残念ながらカーシェア業界を牽引するタイムズカーシェアは毎月1,030円の月会費に、1,550円のカード発行費がかかってしまうため今回のテーマからは除外です。ただし、学生と法人に限っては月会費無料でサービスを受けられます。
各社のステーション・車両数を比較
カレコ、オリックスカーシェアのステーション数、車両数は以上のとおりです。カレコが都心部を中心にサービスを提供しているのに対し、オリックスカーシェアは、それよりも少し広い範囲でサービス提供をしています。車両数がカレコの方が多いことから、都心部の利用はカレコの方がしやすいと言えます。
dカーシェアは、オリックスカーシェア、カレコの車両をそのまま利用していますが、利用料金などのシステムは独立しています。カレコ車両を利用する文については、カレコの月会費無料プランと同等の料金設定ですが、オリックスカーシェア利用の場合は、本家よりも断然お得になります。
アースカーについては、会員数だけ見ると4番目に多いサービスではありますが、車両とステーションがあまり多くありません。
各社の初期費用を比較
オリックスカーシェアを除き、他3社は初期費用無料で登録することができます。
特にカレコは、携帯電話からアクセスできるサイト上から施錠・解錠(利用・返却)の手続きを行えるので、ICカードは必須ではありません(手持ちのICカード、おサイフケータイを無料で登録することも可能です)。
dカーシェア、アースカーも、無料で登録することは可能ですが、FeliCaマークがついたおサイフケータイ、Suica、PASMO、ICOCAのような交通系ICや、WAON、nanacoのような電子マネーカードを会員証として利用することになります。それらがない場合、dカーシェアは利用することができず、アースカーはカードを発行するのに1500円もかかってしまいます。
オリックスカーシェアは、独自のICカードを必ず発行しなければならないので、必ず1,000円の発行手数料が発生します。
各社の利用料金を比較
各社の無料プランの利用料金は以上のとおりです。一見、カレコが一番安いように見えますが、最低利用時間は30分に設定されており、10分単位での料金計算です。dカーシェア(オリックス車両)で30分利用すると440円ですが、カレコは30分利用で480円になってしまいます。
また、カレコとdカーシェアは、6時間までの利用だと距離料金が発生しません。
オリックスカーシェアは、短時間利用でも距離料金が発生してしまう上に、15分、6時間の利用料金も最も高く設定されているため、あまりお得ではありません。ただし、dカーシェアは、手頃な料金でオリックスカーシェアの車両を利用できるため、近隣にオリックスカーシェアのステーションがある方は、dカーシェアを選んだほうが安く利用できます。
アースカーについては、15分につき80円、距離料金は1kmにつき6円と非常に安く謳っていますが、実際にそのような低料金で利用できることはごく稀です。
参考までに、カレコのコンパクトクラス相当、オリックス・dカーシェアのスタンダードクラス相当である日産のジューク(練馬区石神井町2丁目)を見てみましょう。
15分につき170円、1kmにつき18円の距離料金が設定されています。長時間利用は、他社の同価格帯と比べると最安ではありますが、車両や貸出場所によって全く異なるので、一概に比較することは難しいサービスとなっています。
以上のことから、dカーシェア、カレコがお得に利用することができ、場合によってはアースカーも安く利用することができます。
各社の補償内容を比較
基本的に対人・対物・車両の免責額は0円です。例外として、アースカーだけは車両補償の免責額が最低5万円で設定されています。
サービスによって、ロードサービスの有無や、事故などで車が使えなくなった際に発生するNOC(休業補償)の免除措置、オプションの補償の内容が変わってきます。
この中で一番充実した補償を提供しているのはdカーシェアです。さまざまなロードサービスが付帯しているだけではなく、2~5万円発生するNOCも免除される補償が標準で付帯している点は、他社にはない大きなメリットです。カレコも、1利用につき324円支払うことで、NOCが免除され、いくつかのロードサービスの請求も免除されます。
オリックスカーシェアも、ロードサービスは付帯していますが、NOCの免除措置はなく、事故に遭った場合は必ず2~5万円のNOCを払わなければなりません。
そしてアースカーは、ロードサービスがおまけ程度で、車両の損害免責額(5~30万)とNOC(2~25万円)で最低でも7万円、最も高額で55万円請求される上に、それらの免責補償も他社に比べて高額であるため、万が一のことを考えると利用することすらオススメできません。
まとめ:無料プランはdカーシェア、カレコがオススメ!
各社の初期費用から補償内容をまとめていきましたが、一番のオススメはdカーシェアです。利用料金も比較的安く設定されており、補償も充実しているため万が一のときも安心です。オリックスカーシェアをお得な料金で利用することができ、カレコの車両も利用できます。
次点でカレコですが、こちらもdカーシェア(オリックス)に近い低価格で利用することができます。dカーシェア(オリックス)よりも車両のバリエーションが豊富で、やや高額になってしまいますが、高級車も借りることができる点は、大きなアドバンテージです。
オリックスカーシェアは、初期費用がかかり、利用料金も高めで、NOC免除措置がないなど、やや微妙な点が目立ちますが、dカーシェアがそれらをカバーしているため、生活圏にオリックスカーシェアのステーションしかなくても、dカーシェアに登録すれば大丈夫です。
そして、80円/15分、6円/1kmという低料金を謳っていたアースカーは、最もオススメできない結果となってしまいました。利用料金は車種によって異なりますが、特別安いわけでもなく、なによりトラブル時の料金設定が法外的な値段に設定されており、他社より高額な免責補償をかけなければ安心して利用することができません。