アースカーは月額料金が無料で、輸入車・高級車・喫煙車など幅広い、柔軟性に富んだラインナップの車種に乗ることができるなど、独自路線で勝負するカーシェアリングサービスです。
なぜこうしたサービスができるかというと、アースカーは自社の駐車場を持たずに、フランチャイズ体制で各地域に合わせた運用を行っているからです。
「フランチャイズ」ということで利用を懸念される方も多いのですが、実はオーナー制のカーシェアリングの方が車両は非常に清潔です。なぜなら利用の度に管理が入り、車内のゴミやにおい、清掃などの細かなメンテナンスについて確実に行き届いているからです。
タイムズカーシェアやカレコなど大手カーシェアリングサービスは、コインパーキングなどの駐車場を自社で運営し、その敷地をカーシェアリングステーションとして利用・運営しています。もちろん車両も自社車両。そのため単純な「カーシェアリングサービス」としてのスペックは圧倒的に大手が優位です。しかし、「前利用者のゴミが残っていた」「車体が傷付いていてカッコ悪い」など、管理面における大手の品質は各利用者に委ねられるため、アースカーに軍配が上がります。
※Anycaとは明確にサービスの形が異なります。
アースカーに登録するメリット~各社との違いを検証
月額料金無料!利用料金も手頃な値段から
アースカーは月額料金が無料のサービスです。かつては、月額800円のスマート会員プランがありましたが、現在は募集を停止しています。
フランチャイズ体制で運用していることもあり、利用料金などはオーナー主導でバラバラです。しかしミニバンやワゴン車、外国車など特殊な車種でない限り、比較的安く利用できます。
例えば、2018年5月現在、練馬区石神井町2丁目にある日産 ジュークは、15分170円、距離料金18円/1kmで利用することが可能です。ジュークは小型SUVであるため、他のカーシェアリングサービスでは、コンパクト・スタンダードクラスに位置付けられる車両です。
参考までに、他社の月会費無料プランの利用料金です。一見、カレコが一番安いように見えますが、カレコは10分単位で最低30分の利用をしなければならないため、ジュークで比較した場合は、アースカーが最安です。
長時間利用もお手頃な料金に設定されているため、車種にそれほどこだわりがなく、たまにしか使わない方にオススメです。
会員証不要!登録した当日から利用可能
アースカーは、SuicaやPASMOのような交通系IC、もしくはおサイフケータイを会員証にすることができます。会員証が届くのを待つ必要がないため、登録したその日から利用できます。
登録に必要なものは、運転免許証とクレジットカードで、会員証の登録は初回利用時に車のリーダーにかざして行います。当日から利用できるだけではなく、財布がかさばらずに利用できるのも、地味に良いポイントです。
【参考】会員証あり
- タイムズカーシェア
- オリックスカーシェア
【参考】会員証なし
- アースカー
- カレコ
- dカーシェア
輸入車・MT車・スポーツカー・喫煙車など、車種幅がかなり広い
アースカーは、車両数自体はあまり多くないものの、幅広い車種の貸出を行っています。国産高級車・外国車・スポーツカーまで用意できるのは、アースカーがフランチャイズ制のカーシェアリングサービスだからです。例えば、東京都港区高輪4丁目では、メルセデス・ベンツのCクラスを200円/15分+30円/1kmで借りることができます。
そして、基本的にどこのカーシェアリングの車両も電子タバコを含めて全車両禁煙、AT車のみ。しかしアースカーは全てがオーナー次第なので、MT車や喫煙可能な車なども用意されています。その他カスタム車やマニアックな仕様の車種を選ぶことができるのも、アースカーの面白いところです。
利用の度に清掃・点検・管理が行われるため車両が清潔
タイムズカーシェアやオリックスカーシェアなど大手事業者と大きく異なる点がこちら。フランチャイズオーナーが管理できる狭い範囲内で数車両を回しているため、清掃・点検は利用の度に行われます。
オーナーも「自分たちの車」「また利用してほしい」という接客意識・ホスピタリティが高いため、細かなメンテナンスがほどこされています。タイムズカーシェアなども当然清掃・点検は行っていますが、全ての車両を利用の度に管理することは現実的に不可能です。
イメージとしては「個人レンタカー」に近い形。もちろんオーナーによって品質に差があるものの、「アースカー」のFCマニュアルが徹底されているために口コミや評判でも徐々に広まっているのだと思います。
アースカーの残念なポイント!他社と比較したデメリット
利用できる車両・ステーションが圧倒的に少ない
アースカーは全国17都府県でサービス展開がされていますが、蓋を開けてみると、全国でわずか207台しか利用できず、静岡県内や滋賀県内では1台しか用意されていません。かと思えば、普通では考えられないところにステーションがあったりします。それにも関わらず、利用者が3万人近くいるのも不思議です。月額料金が無料のため、とりあえず登録している方が多いのでしょうか。
近所にステーションがある方や、スポーツカー、外国車などの高級車に乗ってみたい方にはオススメですが、それ以外の方は無料で登録しても使う機会はほとんどないでしょう。
料金設定や装備が車両ごとにバラバラ
多くのカーシェアリングサービスは、ETCやチャイルドシート、掃除用具など、車内装備がほとんど統一されており、シンプルな料金設定になっています。車種のクラスは2~4段階に分かれ、利用料金もクラス毎に異なるだけです。
しかしアースカーの利用料金は車によって全く異なります。たとえば前述のジュークは15分170円ですが、他のステーションでは同じジュークでも異なる料金設定になっている可能性があります。事故を起こした際の車両補償の免責額やNOCの請求額については、非常に細かく10段階ものグレードが設定されています(次項参照)。
ナビの仕様も車両によって異なり、チャイルドシートの有無、さらには禁煙・喫煙までも車両によって異なります。オーナー制ゆえに多様性の面ではメリットとも言えますが、他のカーシェアリングサービスで「当然」装備されているものを予約時にわざわざ確認しなければならないのは少し手間ですね。
またアースカーが言うところの「最低利用料金」について、公式サイトでは2017年4月時点で「80円/15分」、距離料金が「6円/1km」と、不明瞭な形で謳われています。実際にそのような料金設定で利用できる車は皆無です。
万が一のときの自己負担額が非常に高く、補償内容も微妙
一般的なカーシェアリングサービスでは、車両補償の免責額が0円に設定されており、事故時などもNOC(休業補償)を支払うだけで済みます。しかし、アースカーの車両補償は免責額が0円ではなく数万円に設定され、NOCも他社より高額に設定されているため、事故時の自己負担額はダントツで跳ね上がります。
NOCや免責額は、車両の「グレード」によって異なります。外国車やスポーツカーなど、高級車ほどグレードは上がり、負担額も上がります。利用料金はグレード毎ではなく車両によって異なりますが、故障や事故の際に発生する金額は、ある程度定まっているようです。
たとえばこのGT-Rはグレード8ですが、その免責額は200,000円、自走可能の場合のNOCは80,000円、自走不可能の場合のNOCは200,000円に設定されています。よって、事故を起こして自走不可能になった場合は、最高で40万円支払わなければなりません。
数千円払うことで車両補償の免責額を0円にしてくれるオプション補償はありますが、それでもNOCは支払わなければいけません。
補償に関しては、主要カーシェアリングサービスと比較すると物足りなさを感じます。
恥ずかしい…せっかくの高級車も「わ」ナンバー
アースカーはその幅広い車種幅がメリットの一つ。しかし、オーナー制カーシェアは「個人間カーシェア」とはその実態が異なるため、「わ」ナンバーは避けられません。
レクサス、ベンツ、BMW、ポルシェ、フィアットなど高級車・オープンカー・スポーツカー、そのラインナップは業界一。カッコいい車で彼女とドライブ!といきたいところですが、「わ」ナンバーではかえって恥をかかせてしまうかもしれません。
国内初のFC型カーシェア!車種の幅広さはユニークだが常用には不向き
アースカーの最大の魅力であり、またサービスとしての統一性を欠く要因となっているのが「フランチャイズ型カーシェアリング」であることです。料金も補償も車種も、全てはオーナーが実権を握っているため、どちらかというと上級者寄りのカーシェアリングサービスと言えるでしょう。
また、カーシェアリングとしてその移動手段・個人インフラとしての基礎にもまだなっていません。車両数・ステーション数は大手に全く及ばず、なにより補償があまりにも心細く、免責額やNOCが高額である点は、他社に大きく劣ります。利用料金が比較的安いとはいえ、初心者や万が一のことを考えるとアースカーは選択肢から外さざるを得ません。
タイムズカーシェアなどの大手とは一線を画するサービス内容ではありますが、正直まだまだこれからといった印象。もっとFC加盟店が増え、補償の基盤が固まれば評価に値しますが、タイムズカーシェア・オリックスカーシェア・カレコ、この3社の次に名前が挙がるカーシェアではありません。