日産自動車と日産レンタカーが運営する「日産 e-シェアモビ」は、これまでのカーシェアリングサービスとは一線を画した優れたサービスを提供しています。
知名度とステーションの数はまだまだですが、個人的にいま一番注目しているカーシェアです。これまでのカーシェアとはどのように異なるのか、詳しく解説していきます。
e-シェアモビの良い口コミ・評判
距離料金が発生しない
他社のカーシェアリングと大きく異なる点は、どんなに利用しても距離料金が発生しない点です。もちろん、ガソリン代や充電料金も発生しません。
大抵のカーシェアリングサービスでは、ガソリン代などが発生しない代わりに、1kmの走行につき約16円の距離料金が発生します。距離料金制は、ガソリン代実費に比べても割高であるため、長距離を走れば走るほど料金も高くなり、遠出にはあまり向いていません。
e-シェアモビでは、利用料金を支払うだけでどんなに走行しても追加料金は発生しないため、1泊2日の旅行でもレンタカーの代わりとして非常にお得に利用ができます。
手頃な料金設定
距離料金が発生しないだけではなく、利用料金も最安クラスに設定されています。
大手三社と比較すると、オリックスカーシェアが一番最安となっていますが、距離料金のことを考慮するとe-シェアモビの方が断然安く利用できます。1km/15円の距離料金の場合、わずか67kmで距離料金が1,000円を超してしまうほか、オリックスカーシェアは6時間の利用でも無条件に距離料金が発生してしまうため、トータルで考えるとe-シェアモビが一番お得になるケースがほとんどでしょう。
e-シェアモビは、毎月の月会費が1,000円発生し、月会費相当の無料利用分が付与されない点は少し残念ですが、期間限定で11月30日までは月会費が無料となっています。
日産の最新車両が使える
e-シェアモビは、日産自動車と日産レンタカー(日産カーレンタルソリューション)の共同事業で、「日産の最新機能を体験してもらおう」という狙いでサービス展開がされています。「ノート e-POWER」や「リーフ」といった最新の車両を利用することができます。
日産の先進的な車を体験してもらおうという「プロモーション」も兼ねているため、車内装備が充実しており、他社のカーシェアリングと比べても、グレードの高い車両になっている印象を受けます。
快適かつ安全に運転を楽しむことができ、「車を買うときが来たら日産にしようかな」と考えてしまうほどでした。
ETCカードが標準装備
e-シェアモビでは、ETCカードリーダーだけではなく、ETCカード自体も標準装備されています。通行料は利用者負担で、後日利用料金と共に請求がされますが、ETCカードを持っていない方でもETCを利用できるのは、e-シェアモビだけです。もちろん、自身のETCカードに差し替えて利用することも可能です。
ETCを利用することで、料金所をスムーズに通過できるというメリットだけではなく、0~4時の深夜帯に通行すると通行料が3割引になったり、土日祝日の通行料も地方部が3割引になるなどの恩恵が受けられます。またカーシェアリングやレンタカーの忘れ物で特に多いのが「ETCカード」と聞きますので、抜き忘れがなくなる点も安心です。
免許証が会員証に!
なぜ今まで他社がやらなかったのか不思議なくらいですが、e-シェアモビを利用する際に必要な会員証は「免許証」です。
他社のサービスでは、サービスの専用の会員証や、事前に登録しておいたSuicaのような交通系ICなどを車のリーダーにかざして、利用開始・返却手続きを行います。専用の会員証の場合、利用開始しようとしたときにうっかり会員証を忘れたということも珍しくなく、財布に一枚カードが増えるのも少し煩わしく感じてしまいます。
しかし、e-シェアモビは運転する際に必須な免許証を会員証として採用。そうすることで、免許証不携帯を防ぐことができ、財布に新たにカードを増やすこともなくなり、利用者にとっても良いことしかありません。
ICチップが入っている免許証は、他社の会員証と比べて反応速度が遅い規格を採用しているため、認証されるまでに少しだけ時間がかかってしまいますが、それでもわずか3秒程度で済みます。
免許証の情報は会員登録時に記入するので、特別な手続きなども不要であるほか、登録手続き後、わずか数時間で利用できるようになります。
安心装備と充実したオプション補償
前述の通り、貸し出される車両の装備は非常に充実しているため、安全機能なども十分に備わっています。自動ブレーキシステムや、自動運転機能、ドライブレコーダーも全車に装備、俯瞰したようにバックすることができるアラウンドビューモニターなど、先進的な安全機能が多く用意されています。
特に、バックモニターが付いていない車両はカーシェアリングでは意外と多いため、女性や運転初心者の方でも安心して利用することができます。
更に補償も非常に充実しているため万が一のときも安心です。
タイヤがパンクしたときや、バッテリーが上がってしまったとき、キーの閉じ込めなど、ロードサービスや修理が必要になってしまった際も、そのかかった分のお金をe-シェアモビは最大2万円まで負担してくれます。さらに、24時間324円のNOCサポートプランを同時に加入すれば、トラブルなどで車両が一時的に使えなくなったときに発生するNOC(休業補償)2万円を負担する必要がなくなります。
タイムズカーシェアやオリックスカーシェアなど大手と比較して、e-シェアモビは「後発組」としてのメリットを存分に活かしたユーザー目線のサービスと評価できます。
e-シェアモビの悪い口コミ・評判
ステーションが少ない
e-シェアモビの一番残念なポイントはこれに尽きます。ステーションが圧倒的に少なく、東京都内でも約20ヵ所しか設置されていません。
本来カーシェアリングは、生活圏内にステーションがあり気軽に貸出・返却ができるようになることで、自家用車と同じように車を利用できるというのが大きなメリットですが、e-シェアモビの場合は、新宿やみなとみらいなどの都心部を中心にステーションが設置されているため、利用したくても電車で移動しなければ使えないという方もほとんどだと思います。
そのため、休日などの利用者が多い日は、予約で埋まってしまうことがほとんどで、他のカーシェアと比べても気軽に利用しづらくなっています。
レンタカーなどと比較しても利用料金が安いという大きなアドバンテージがあるため、電車で移動してでも使う意義はあると思いますが、せっかく良いサービスなので、できればもっと多くの場所に増えてほしいなと思います。
最近では、練馬、中野、吉祥寺といった場所にも増えつつあり、徐々に全体のステーション数も増えつつあるので、今後に期待です。
車種は「ノート e-POWER」「リーフ」の2種類のみ
e-シェアモビで貸し出しているのは、ハイブリッド車の「ノート e-POWER」と電気自動車の「リーフ」のみです。いずれもコンパクトカーで、6人以上の乗車や大きな荷物を運ぶのには向いていません。
手軽に日産の先進機能を楽しんでもらおうというコンセプトであるため、車種も限定されてしまうのも無理はないのですが、「セレナ」のような大人数の乗車や荷物を運ぶのに適しているミニバンがラインナップに入っていないのは少々残念に感じました。今後追加されることを期待します。
毎月1,000円の月会費が発生する
どこのカーシェアリングサービスも、基本的には1,000円程度の月会費が発生してしまいますが、同時に当月利用可能な月会費相当の無料利用分が付与されます。そのため、月に1,000円以上利用すれば月会費は実質無料になるのですが、e-シェアモビの場合は無料利用分の付与がなく、必ず月会費分を支払わなければなりません。
現在はキャンペーン実施中で、2019年3月31日までは月会費が無料になっていますが、それ以降はキャンペーンが延長されるか、予定通り月会費が有料化するかはまだ分かりません。
まとめ:e-シェアモビは近隣にステーションがなくても利用したいカーシェア
- 距離料金が一切発生しないのはe-シェアモビだけ
- 利用料金も業界最安クラス
- 車両が新しく装備も充実
- ETCカードが標準装備されているのはe-シェアモビだけ
- 免許証を会員証として使える
- 登録してから数時間後には利用ができる
- 安全装備だけじゃなく補償も安心
- ドライブレコーダーが全車標準装備はe-シェアモビだけ
- ステーションは圧倒的に少なく、予約で埋まっていることも
- 車種は2種類しかない
- 月会費は発生するが、3月31日まで無料
e-シェアモビの優れたポイントから残念なポイントまでまとめましたが、ステーションが圧倒的に少ないこと以外は、非常に優れたサービスであると言えます。タイムズカーシェアやカレコなどと比べるとまだ見劣りしますが、例えばアースカーやカリテコなど中堅カーシェアサービスと比較しても、大資本の日産自動車が展開しているだけあって評価できるポイントが多いです。
日産のプロモーションも兼ねたサービスということもあって、非常に快適に車を利用することができますし、思ってた以上に先進的な機能に驚かされ、他の車両が少し使いたくなくなるほどです。
さらに、免許証を会員証にするシステムや、ETCカードが標準装備されている点、ドライブレコーダーが全車標準装備されているなど、なぜいままで他社はやらなかったんだろうと不思議に思うくらい画期的なサービスを提供しています。距離料金が発生しないのも非常にありがたく、長距離を運転する際もレンタカーより断然お得に利用できる唯一のカーシェアといえます。
これだけ優れたサービスであるため、ステーションが圧倒的に少ないのは非常に残念です。この数ヶ月だけでも急速にステーションの数は増えているため、今後に非常に期待していますが、それでも土日の都心部の貸出状況は、ほとんど予約で埋まっているため、本来のカーシェアリングが持つ気軽に利用できるという利点が損なわれてしまっています。
しかしそれでも、ステーションが少ないという問題を除けば、現状日本で展開されているカーシェアリングサービスの中では一番優れたサービスを提供していると言っても過言ではないでしょう。
日産 e-シェアモビ | 詳細 |
登録URL | https://e-sharemobi.com/ |
運営会社 | 日産自動車・日産カーレンタルソリューション |
サービス形態 | カーシェアリング |
利用可能都道府県 | 25都道府県 |
ステーション数 | 約300ヶ所 |
車両数 | 約300台 |
会員数 | 2,000強(3月現在、公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団調べ) |
国内シェア | 不明 |
支払い方法 | クレジットカード(Visa、Master、JCB、AMEX、Diners) |
初期費用 | 基本無料 |
月会費 | 月1,000円(3月31日までは無料) |
利用料金 | ベーシック:15分/200円~ 6時間パック:3,500円 |
距離料金 | なし |
ガソリン・充電代 | 利用者負担なし |
オプション保険 | 324円/24時間(NOCサポートプラン) |
ペット | 同乗禁止 |
タバコ | 全車両禁煙 |
提携レンタカー | なし |
2018年8月24日現在